ゆっくり行く者は遠くまで行く

子供の頃(小学校くらい)、自分のことを知るなんて考えた事もなかった。

なので大人たち、つまり親や祖母、祖父、親戚の叔母、叔父、学校の先生が私について言ったことをただ信じて、自分が何を感じているか気がつかないでいたようだ。

何か物を早く作ったり、早く書いたり、早くすぐ何かを実行することは得意ではなかった。何でものんびり始めて時間までに終わらせられない私のことをまわりの大人たちは「ノロマ」と呼んだ。「ノロマ」は日本語で「注意力がない」という意味もあるのでそれはあんまり聞こえが良くなかった。それで自分は何かを作ったり実行したりするのが苦手だと思い込んでいた。

そんなわけでか、何か物を作るのを諦めたり、完成する前にやめてしまったりした事が数えられないほどある。

 9~12歳のときにかぎ針編みと刺繍を小学校で習った。 

でも学校の授業中にプロジェクトを完了させられたのはほと殆ど出来なかった私。

それはまず、何を作るか、どんな色を使うか、どんな糸を使うか考える事から

始まって、やっと決まって始めた時には他のみんなはもう半分くらいやり終えていた感じ。だから遅すぎて、教室では全然完成できなかった。 

家で仕上げることもできたかもなんだけど、そうしなかった私。

なぜ?

それは私の実家にはアートや、クラフトをするような雰囲気がまったくなかったから。

何回か家で何かを作った事はある、でもそうすると、「面倒な事をしてるんだね。そんなの終わらせられないよ。」と言われたり、「なんでそんなに時間かけて作っているの?」と聞かれたりした。

もちろん、自分でも本当に作れるかどうかはわからなかったけど、一生懸命やってみたいという気持ちがあった。でも家族からサポートをもらえないとわかって家では何もしたくなってしまった。

だからと言って何かを作ってみたいという私の情熱は完全には失われたわけではなかった。ただゆっくり時間をかけてする気持ちになるには年月がかかった。簡単にできる編み物をしたり、陶芸やステンドグラス、そしてガーデンニングを少ししたり。

卵巣癌の病気になってマクロビオティックを始めた時、時間をかけて季節に合わせたお料理とわかって、これなら自分にもできると思った。丁寧に全粒穀物、玄米などを洗って電気釜でなくって陶器鍋かステンレスの鍋で時間をかけてゆっくり炊く。野菜をやさしく洗って気持ちを込めて切って料理するなど、私にはピッタリだった。たくさん勉強して学ぶ事が楽しかった。

そしてまた好きな織りもの、編み物、かぎ針編み、刺し子のプロジェクト、また、カリグラフィー、木彫り、天然染色(オーガニックの藍、ハーブ、花を使用)、天然染料のインク作り、モザイク、ステンドグラス、木版画、水彩画など、そして好きな薬草をガーデンで育てたり、味噌梅干し作り、ガーデンニングなど好きな事を仕事合間に楽しみ始めた。

 お庭の薬草、ビロードモウズイカ (グレートマーレインーアメリカではナバホ族愛用)

 

歳を重ねてスローライフを満喫しだして、仕事は好きな事をする合間にするようになって以前とは逆になった。

こうして好きな事を毎日少しでもしていると本当は子供の頃から時間をかけて作るものが好きだということに気づいた。ゆっくり時間をつかって丁寧に慎重に、そして気ままに時間に気を配ることを楽しんでいる自分を発見。

ゆっくりいく事が自分で一番居心地がいいとわかった。なので、今は注意力ある「ノロマ」でいいと思える。

 

7年前にWildfiber Studio のセーター クラブに参加してゆっくりたくさんのセーターやカーディガンのつ編み方を学んで編み上げられるようになった。

とっても編みたかったパターンのひとつに太陽の色を使ったセーターがあったけど、丁度、抗がん剤治療を受けていたため、作れなかった。でもそのセーターを作りたいという気持ちはずっと無くならなくって、やっと5年後に編み上げられることになった。

時間がかかった分、出来上がった時の嬉しさは格別だった。

自分で時間をかけて編んだセーターや作ったものは愛着があって着たり使ったりするたびに嬉しくなる。

 

今年の春、タッターTatter (ニューヨーク州ブルックリンにあるノンプロフィット・テキスタイル図書館。人間の物語を伝え、理解を育むためのテキスタイル・クラスやイベントもしている。)のボタニカル刺繍ワークショップに参加。先生はラオス出生地でカナダのトロントで活動しているアロウンナさん。このワークショップは草木で染めた糸を使って刺繍するというのが気に入って参加。

 

草木染めのとてもやさしい色に刺激を受けた。 

22種類のステッチを覚えなければならないとは知らないで始めた私は12歳の時から刺繍はしてなかったからほとんどのステッチをやったことがなかった。

 

目安では1ヶ月で完成させられるようだが、それで私は3か月以上かかってしまった。

ゆっくり自分の納得のいくようにできる限り集中してやっと完成させられた自分に感謝。諦めないで終わらせられて本当に嬉しい。

ひと針ひと針ゆっくりゆっくり刺していくのはひと呼吸づつ集中して瞑想しているような気持ちにさせてくれるのが好きかも。

 

「ゆっくり行く者は遠くまで行く」という事わざを忘れないでこれからのプロジェクトもゆっくり焦らず完成させていこうと胸に誓う。

 

このブログもたくさんは書けないけどこうして書ける時に書けるのが喜びにつながってる。

Love,

Sanae ❤️

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