新年の目標 – インク作り


1月は新年のゴールを書く時にしている。
もう30年ほど、元旦に初日の出を拝み行っているが実際は旧暦で年間計画を立てているので、二月の旧正月までの間、新年をどのように過ごすかを意識して過ごす。
頭に浮かんだ事、思った事、感じた事を書き始める1月は、新年の気持ちを確かめるのに最適。

毎年こうして自分の目標を書いていると、自分の気持ちの中でやりたい事と実現できる事を書く習慣は好きだと気づいた。
昨年書いたものを確認し、どれが実現できたか、どれができなかったかを確認する。
達成できなかった目標があれば、それを素直な気持ちをもって見つめ、今年も同じ目標に向かって努力するかどうかを考える。
時々、興味や感情が変わって続かなくなることがある。それはそれで物事と自分の変化を受け入れ、その事に対して批判しないことが私にとって良い経験になっている。

 

2024年の目標の一つは、マイワ染織学校のワークショップを受けて、天然素材を使った「インクの作り方を学ぶ」こと。

なぜ私がこのワークショップを今年の目標にしようと思ったのか?
実はある事があって幼稚園を変校、新しく通い始めた幼稚園の園長さんの弟さんが有名な書道の先生で、その先生について5歳から「書道」を始めた。
初めは墨を硯にする事と紙の上に落書き。

 

墨を水と混ぜて手で硯にすって作り墨液がなぜか好きだった。
墨をすっていると時間が経つのも忘れてしまい、先生が時々様子を見に来て「筆を墨につける準備はできたか?」と言われた。

幼くっても私は禅状態にあったのかも、ハハハ!
墨の香りと墨が硯を擦る音にゆったりさせられていたのかも。
真夜中より暗い真っ黒な墨液もすりかたで作れたかし、夜明けの色、灰色に近い墨液色もあった。
墨をする手の動きや気持ちによって墨の色が変わった。
ゆっくりと手を動かしながら、墨をすることが、内気な幼い”さなえ”に自信を与え、心を落ち着かせるのにも役立っていた。

美術館の『書道展』に出品するよう先生に勧められて、数々の賞を受賞してた頃もあった。

お友達に頼まれた書道。

 

それから小学生の頃に父が万年筆を使っていることに気づき、万年筆に惹かれ、13歳の時に初めて万年筆を買ったのを覚えている。
緑のインクを見つけて、故郷の名古屋の深夜ラジオ番組「あまちんの若者リクエスト」に葉書でコメントとリクエスト曲を毎週送った。
電話でも曲のリクエストはできたけど、たくさんの人がかけていたから、いつもつながらない事がほとんどで、葉書を送る手段をとって、学校の勉強よりもこの葉書を書くことに夢中になっていた。
緑色の万年筆を使っていたのでペンネームは「グリーンパフ」。

ほとんどの人はボールペンで葉書を書いて送っていた。万年筆とカラーインク、特に緑色で葉書を送っている人は誰もいなかったので、DJ のアマちんが大体毎週私のカードを選んで、私のお好みの曲をかけてくれていた、もう忘れかけていた甘い酸っぱい思い出。

 

2001年に臨死体験をした車の事故で大怪我をして歩けなくなって、エヴィーさんという人のお陰でサンタモニカカレッジのエメリタス校でペンカリグラフィーのクラスを受講することになった(この話はここに英語で書いてある)。
日本の書道とは違うけど、準備して用意して書く姿勢は似ていると思う。心を落ち着かせ、雰囲気が静寂になる。
私がペンカリグラフィーの練習をしている間、うちの犬猫家族たちはみんなリラックス。

私のペンカリグラフィー練習ノートからのリンディスファーンの福音と絵。

 

ずっとペンカリグラフィーを続けていて、数年前に学校のアートショーに自分の俳句をペンカリグラフィーで書いて水彩画の版画と作品にして出品できて昔の事を思い出した。身体障害があってもまたこうしてアート展に出展できた事、嬉しかった。

アートショーに出展した、俳句とカリグラフィー、版画アート

 

ステージ IV の非ホジキンリンパ腫がんで余命1ヶ月もないと診断された後、治療のために 6 サイクルの化学療法を受けた後、2019年の春、東京のカキモリのインクスタンドでインクの色を混ぜて以来、いつか自分で「インク」を作ってみたかった。

 

 

インクスタンドにはたくさんの色を作成/混合するため10 色の基本色があって私は1 つ自分の色を作ることに魅了された。
天然の染料材料を使ってインクを原液から作る方法はないのか、ということにも興味を持っていたのでマイワ染織学校で「インク作りワークショップ」があると知ってワクワクした。

また美術展用に新しいカリグラフィーアートを自分のオリジナルインクカラーで作成ができたらいいなと思い、
このワークショップを2024年の目標の一つにした。


ワークショップは7週間あって、始まったばかり。
最初の週はイントロとモジュール 1 で、インクを作るために準備する必要のある材料や消耗品を学ぶ。
ガラス製品が大好きな私は、材料リストにガラス・ビーカー、フラスコ、シリンダーなどが含まれているのを見て、感激。
雨水を利用してインクの原液も作れる事がわかったのも嬉しい。
タイミング良く、ここ数日雨が降っていたので雨水の用意もできた。

今朝降った雨粒

 

今週末、アラビアガム原液とセラック原液を作るための材料などをすべて入手。
この手前のガラスの容器は化学の授業で使った物のみたいでしょ?

 


アラビアガム原液を作るのは、アーモンド・ミルク・ラテ作りぽく、あんまり時間もかからなかった。
シェラック原液は最初にキャラメルシロップを作っているようで、講師のティムさんが「作るのに1時間かかる」と言ってたけど、私はシェラックを溶かすための湯煎のお湯の量が少なかったようで2時間くらいかかった。 これは次回作る時の参考になった。
何にしても、ゆっくり楽しい日曜の午後の時間を過ごしながら完成。

初めて作ったリサイクルボトルに入れた、アラビアガム原液とシェラック原液。

 

考えていたよりもはるかに刺激的なワークショップで自分のオリジナルカラーインクを作るのが楽しみ〜。


少しづつ、インスタグラムやフェイスブックにもっと写真を投稿して、またブログにも書きたいな。

 

Love,

Sanae ❤️

私の新しく生きていく道

自分が感じたことなどを書く事は私にとって心とつながりになる。
なのに1年以上、書けないでいた。

チャレンジがあると小さい頃から何らかの形でジャーナル(日記)を書いていた。

2017年(平成29年)の春にびまん性大細胞型B細胞性非ホジキンリンパ腫肝臓ステージ4と診断と余命1ヶ月もないとドクターに宣告を受けてショックだった。
(この事は3年前のブログ余命1ヶ月もない!に書きました。)

今まで通りのホリスティック療法、マクロビオティック食養だけでは癌の進行が早過ぎて時間的に間に合わずキモセラピー(ガン化学療法)を受けて自分の命を救う事を決心。肝臓の痛みは耐えられないほどにまでなって、ただ目を閉じて呼吸をして横たわるのが精一杯の日々が続いた。眠れない夜、気力がある時は横になったままブログを書いてニュースレターを送った。

そうする事で友人やサポートしてくれている人たちと絆を繋げていた。

書く事で寂しさと恐怖から自分の心を守ってもいたようだ。

6回目のキモセラピー(ガン化学療法)が無事終わって少しづつ肉体的に回復し始め、自分でお茶を入れたり少し日常の事をやれるようになった。それからお洗濯やお部屋のお掃除とか肉体を使う家事をやるようになって書く時間がだんだん無くしてしまったようだ。

インスタグラムやファイスブックではちょっとしたことを投稿しているが、自分が思った事やした事をブログに心を込めて書いて、気にいった自分の写真と一緒に時間をかけてニュースレターなどを制作して送る事が好きだと気がついた。

ブログやニュースレターを書かなくなった理由はいろいろあるが、理由がなんであろうとまた書きたいという気持ちはあって毎日、書くことを考えていた。書けるようになる新しい道を探していた。何も考えずにサッと書ければ良かったのだが私には何か切っ掛けが必要だった。

サンタモニカカッレジエメレタスのアートのクラスをリンパ腫ガンになる前にいくつか受けていた。キモセラピー(ガン化学療法)が終わってから1年くらいして体力と気力を取り戻してから、またカリグラフィーのアートクラスを受講し直した。
クラスでは無理なく出来る事だけをして、真剣にしない楽しむカリグラフィーを目指していた。

昨年末、春にある生徒のアート展覧会に私のアートワークを提出する機会を知らされた。アート展覧会に自分の作品を提出したことはなかったが、締め切りは2月という事だったので私のアートが選択されるかどうかはわからなくてもカリグラフィーのアート作品に挑みたいと思った。

でもその頃丁度、心的外傷後ストレス障害(PTSD:子供の頃の虐待、虐め、臨死体験車の事故など)が再発していてとっても難関時期だった。心的外傷後ストレス障害の症状が出るとやってみたいと思う事と実際にやれる事が違っていた。普段からでも何でもやる事に時間が私はかかる亀。心的外傷後ストレス障害が酷くなると眠れない夜が続いて悪夢を見る、殆ど何も出来ない状態になって外出は出来なくなり、話す事も出来なくなる。その上、よく泣いてムーディーになって集中力がなくなる。

Sanae with Leo IMG_0916

写真:犬息子のレオと一緒

 

そんな状態になって自分自身にガッカリしてアート作品を作成するのを諦めようとした時、動物家族、特に一番年長の犬息子、レオが私の気持ちを支えてくれた。レオは鼻腔ガンに1年以上も前になっていて前庭疾患症状にもなっていて自分では歩けないでいた。なのに私がこのアート作品を作成するとアートルームに来て私が納得いく作品が出来るまで一緒に毎回いてくれた。そのお陰でアート展示会に提出する作品が締め切りまでに完成。展示会に選ばれるかどうかはわかりませんでしたが最終的には楽しく作品に挑めてレオと一緒に過ごせた時間に感謝。

フレームを特別に作ってもらってアート作品を提出した時、レオは微笑んで「マミー良く出来たね。」と言ってくれました。

thumbnail-1

写真:GRAYHORSE PICTURE FRAMINGのキースさんとhttp://www.grayhorsepictureframing.com

3週間後、私のアート作品が展示会に選ばれたと知らされて、ワクワクした喜びをレオに知らせたら、彼は「もう知ってたよ。」と言って喜んでくれました。

アート展示会に選ばれた事で大きなアイデアを思いつき、私がキモセラピー(ガン化学療法)をしていた時からずっとサポートして下さっている人たちで来れそうな人達を4月にあるアート展示会のオープンニングレセプションに招待するプランを立て始めた。

ワクワク計画を立てている最中に世界中がコロナウイルス感染になってアート展示会はキャンセルされてしまった。

サポートして下さった方々に来ていただいて『ありがとうございました。』と直にお礼をしたかった私の大きなアイデアは消えてしまったのだ。

コロナウイルス感染爆発で世界中のたくさんの方達が亡くなって、大勢の人が現在もコロナウイルスに感染して回復する為に戦っている。こんな困難な状態の中で新たなる問題が起こりこのアメリカも変わらなくてはいけない状況にこの2ヶ月ほど直面している。沢山の人たちが講義のデモに参加してその後、暴動、強奪が起こって異常な社会不適応のノーマルな時代から新しいノーマルな時代を作ろうとしているのをテレビで見た。

私もみんなの為に何か出来ればと強く思ったが、今の私にとっては社会距離拡大戦略で自宅待機して自分の健康管理をきちんとしてして健康で安全でいる事。これが私にとって貢献できる事。そしてこれが私の新しいノーマルな生き方だとあらためて実感。

 

レオは5月24日に眠っている間に安らかに天命した。

彼の肉体の存在が無くなってやっぱり悲しい。

でも彼は生命を全うする事、そしてたくさんの事を私に教えてくれた。

「マミーそのままでいいんだよ。」そのままと言うのは時によっては短気になったり、エキサイトしたり、疲れたり、悲しかったり、心配したりもする事なんだよ。それでいいんだよ、だってマミーの心の奥ははどんな事があっても幸せで満足してるだから。

レオが出発してから間もなくして、アート展示会はオンラインで行われる事になったとサンタモニカカッレジエメレタスから手紙が届いた。オンラインですると言うことはアート展示会に来れる人だけではなくて誰でもみんなが私のアート作品:新しく生きていく道を観れると言う事。

ワォー、凄い! レオちゃんの仕業だ。

 

下記がオンラインアート展示会のリンクとインフォです。

 

ズームのライブのイベントレコーディングはこちらから:

Launch Event for Emeritus Student Art Exhibition 2020 Online

今回のアート展に選ばれたアーティストの作品はこちらから: Emeritus Student Art Exhibition 2020 Online

 

もし、オンラインで観られない方は私のアート作品の詳細と写真のクロースアップは下記です。

My New Path only Lotus

写真: 水彩の蓮根版画

 

タイトル:私の新しく生きていく道

蓮根の水彩版画とオリジナル俳句の墨インクのカリグラフィー

見た目はシンプルで地味なアートですが控えめで落ち着いた禅精神的な気持ちを感じていただけたら幸いです。

 

サイズは14インチh x 11インチw x 3/4インチd

フレームは枠が白カバでリネン生地を使いました。(一番下の写真でフレームが見えます)

字体はアキム(アキムはドイツのカリグラファー、彫刻家、音楽家のハンズジョアキムバーゲルト氏がクリエイトしたもの。優しく愛らしい字体は人間のハートリズムを再現したものと言われている。)初めはアキムがどのように作られたかは知りませんでしたが、書いていると自分にとても馴染んでアキムは大好きな字体になった。それでこのホームページのカバーと名刺などにも使ってる字体です。

俳句は私も含めてみなさんが生きがいを持って新しく生きていく道(新しいノーマル)を見つけると言う願いで書きました。

 

My New Path only calligraphy

写真: オリジナル俳句と字体はアキム

またこうしてブログが書ける切っ掛けを作ってくれたレオに感謝しながら久しぶりのこのブログを書き終わろうとしていたら。。。

エッ、ちょっと待てよ。

今メールがサンタモニカカッレジエメレタスのアート展示会を幹事しているジェシーベンソンさんからメールが届いてる。

信じられな~い。

何回も読んで、やっと内容把握。

オンラインアート展示会のライブオープニングレセプション6月25日(木)に私のアートについてインタビューしたいと書いてある。

今回は90人以上の生徒さんが選ばれて161作品(一人二つまで提出可能)のアート展示会。

数人の生徒だけをインタビューするのは聞いてたけど私がインタビューされるなんて思ってもいなかったから、ビックリ。

本当に私のアートについてインタビュー?

でも驚く事に本当に私のアート作品がを選択されたみたい。

レオがまた手助けしてくれたのかも。

 

 

My New Path by Sanae Suzuki

写真: フレームを作っていただいて完成した「私の生きていく道」

正直言ってなるべくたくさんの人に私のアートを見てもらいたい。

アートが病気のリカバリーを助けてくれてるひとつなのだから。

是非、みなさんオンラインアート展示会を見て下さい!

このアート作品の題にもした「私の新しく生きていく道」に感謝を込めながら1年ぶりで久しぶりに書けたブログを終えます。

心からありがとうございます。

ラブ、草千❤️