健やかであることが、いちばんの誕生日の贈り物

19歳でアメリカに来た頃と、
私の心はそれほど変わっていない。
 
今も変わらず好奇心があり、
自分のペースで生きている。
 
変わったのは、静けさ。
心の奥にある、深い落ち着き。
 
時間とともに、気持ちがやわらかくなり、
一日一日をゆっくり味わい、
自分自身も周りの人も、ありのまま受け入れられるようになった。
 
言い換えれば、
だいたいは自由な心で生きている。
 
71歳の誕生日、
何か特別なことをしたい気持ちはなかった。
 
ただ、少しシンプルなことを、
気ままに楽しみたかった。
 
前もって予定を立てなかった。
それは自分にとってはあまりないことだったけれど、
心地よかった。
 
前の夜、
ふと感じたのは、
 
「桜が見たい」
 
もちろん、ここは日本ではない。
それでもエリックに言ってみた。
 
彼は少し驚いたように、
「桜?どこで?ここは日本じゃないよ」と言った。
 
心の中で、少し微笑んだ。
説明する必要はなかったので、
 
「朝になったらわかるよ」
それだけ伝えた。
 
そして朝が来た。
 
いつものように早く目が覚め、
一つ歳を重ねたことを、静かに嬉しく思った。
 
感覚に導かれるままに桜を探し、
確実さではなく、可能性で場所を選んだ。
 
サウスコースト・ボタニックガーデンには、
わずかに残った桜があった。
 
やわらかく、儚く、
ほとんど散りかけていた。
それでも、それで十分だった。
 
 
 
ゆっくりと歩きながら、
ハーブや花の香りに包まれ、
木々や空気のやさしい生命に囲まれて過ごした。
 
 
その夜、
友人と彼女のお母さまからの誘いを受けた。
お気に入りのレストランでの、ささやかな時間。
笑いがあり、
バースデーキャンドルともちアイスケーキが用意されていて、
一瞬、子どもに戻ったようだった。
 
 
 
翌朝、
サンタバーバラのドッグビーチへ向かった。
愛犬ナル、カイ、ラニ、マカニ、
そしてお友達の犬、モカと一緒に。
海辺を歩きながら、
波の呼吸を聴く。
 
空には大きく広がる雲。
ペリカンや鳥たちが、自由に飛んでいる。
海水が足に触れる。
冷たくて、生きている感触。
エリックがカイと一緒に海を泳いでいるのを眺めた。
 
 
 
そのとき思った。
これが、私の大好きな生き方のひとつ。
 
帰り道、オーハイに立ち寄った。
お気に入りの文房具店「Noted」で、
小さな宝物を見つける。
和紙のテープ、
刺し子の道具を入れられる旅用の小さな道具箱。
 
 
 
Farmer and Cookでは、
マクロビオティックのクッキーと
ローズエリクサーを選んだ。
静かな甘さを持ち帰る。
 
 
週末のあいだ、
さまざまな形で愛が届いた。
花、カード、小さな贈り物。
遠くからの声、
近くからのメッセージ。
 
 
 
 
包まれている感覚。
ありがたさが満ちる。
 
シンプルで、
それで十分だった。
 
今年、私にとって、
本当に大切な時間。
いちばん必要だった誕生日。

 
4週間前、
私の身体は別の物語の中にあった。
 
なかなか治らない風邪。
 
エリックはすぐに回復したけれど、
私はそうではなかった。
 
よくなったと思っては、
またぶり返してしまった。
ワークショップの後、散歩の後、気功のクラスの後。
 
そのたびに、
身体は「まだだよ」と教えてくる。
 
症状は重くはなかった。
少し喉の痛みと鼻水、
毎日続くわずかな熱と、静かなだるさ。
 
その弱さの中で、
別の声が浮かぶ。
 
「またなのだろうか」
 
過去の二つの癌は、
こんなふうに始まった。
 
静かに、気づかれにくく。
 
だから、耳を傾ける。
 
恐れではなく、
気づきとして。
 
この思いは、
同じ道を歩いた人にしかわからないもの。
 
押しのけることはしない。
ただ認める。
 
そして選ぶ。
 
忍耐と、信頼を。
 
できることをし、
自分を丁寧にケアする。
 
日本でよく聞いた言葉がある。
「風邪は万病のもと」
 
だからこそ、養う。
 
陰と陽のバランスを感じながら、
より深く体の声を聴く。
 
エリックの風邪は陽性。
夜に強く出る咳のエネルギー。
 
すりおろしリンゴとそのジュース、
そして蓮根茶で整っていった。
 
私のものは陰性。
朝の頭痛、喉の違和感、寒気、食欲の低下。
 
同じ方法では癒せなかった。
 
ねぎ味噌湯、
強めの梅しょう葛、
小豆と味噌、
鉄火ふりかけ。
 
少しずつ、
本当に少しずつ、
身体は戻ってきた。

今日、
4週間ぶりにアクアヨガへ行った。
 
水の中で、
体を動かす。
 
やさしく、そして全身で。
 
明日はきっと筋肉痛。
でもそれは、喜びの痛み。
 
生きている痛み。
 
学んできたこと、
実践できること、
そしてまた元気に戻れることに、感謝。
 
健やかであること。
この静かで確かな感覚こそが、
 
何よりの贈り物。
 
どんなものよりも、はるかに価値がある。
 
そして、そこにある愛。
 
隣を歩いてくれる夫。
パートナーであり、親友。
 
思い出してくれる人たち。
気にかけてくれる人たち。

お誕生日おめでとう、さなえ。
 
自分を讃える。
忍耐と、信頼、
そしてまた癒えていく力を。
 
愛を込めて
Sanae❤️
 
 
 

You May Also Like

コメントを残す

Your email address will not be published. Required fields are marked *

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>