刺し子の修繕(ビジブルメンディング)

生きてきた中で、ひとつの確かな学びがあった。
 
それは、慈しみ、そして大切に生きるということ。
考えた末にたどり着いたものではなく、
やさしさと共に生きてこそ、わかるもの。
 
40年以上にわたり、私はこのあり方を人と分かち合ってきた。
最初は食 – マクロビオティックを通して、
そして今は手しごと – 刺し子を通して。
 
刺し子に出会う前、私は長い間、マクロビオティック料理を教え、
マクロビオティック・カウンセラーとして人の暮らしに寄り添ってきた。

その仕事が好きで、他のことを教えるようになるとは思ってもいなかった。
けれど、刺し子を教える機会をいただき、静かに何かが変わり始めた。
それは静かに、だけど確かに、暮らしの中に入り込んできた。
 
昨年は、200名を超える方々に刺し子のワークショップで教えることができた。現在はJACCCWildfiber StudioTortoiseなどの会場で、月に2〜4回、継続して刺し子を教えている。
新しい経験として始まった刺し子は、いつの間にか、私の生活に欠かせない存在になっていた。
 
 
 
昨年最後の刺し子ビギナーズ・ワークショップのみなさんと
 
刺し子の魅力は、そのシンプルさ。
基本は並縫い。技術や経験に関係なく、誰でも始めることができる。
 
けれど刺し子は、ただの装飾ではない。
布を補強し、保温性を高め、長く使うための知恵だった。

そこに込められた文様は、五穀豊穣、魔除け、商売繁盛といった、人々の願いや祈りそのものでもある。
同じ動作を繰り返す刺し子の時間は、私の暮らしのリズムによく馴染む。

一針一針が、心を静かに整えてくれる。
完成を急がず、ただ今ここにいることを教えてくれる。
 
私が刺し子を愛してやまないもう一つの理由は、「繕い」にある。
破れたもの、弱くなったものを、直し、補強し、再び使える状態へと戻すこと。
 
両親からは、物を大切に扱い、無駄にしないことを教わった。
日本には「もったいない」という言葉がある。
それは単に節約するという意味ではなく、物そのものに対する敬意と、無駄にしてしまうことへの静かな痛みを含んだ言葉だ。
 
その影響もあってか、私は古い服や綿のシーツ、本、書道用の紙などを、手放さずに取っておくタイプだ。
そこには、それぞれの時間が染み込んでいる。
 
16歳の頃に着ていたTシャツを、今も私は大切にしてる。
そのTシャツには、10代だった私の記憶が残ってる。
袖を通すたびに、あの頃が浮かんでくる。
 
刺し子の繕い靴下とジーンズ

 
 
 
 
 
刺し子の修繕は、ビジブルメンディングと呼ばれていて、繕った跡を隠さない。
むしろ、手をかけたことそのものを、美しさとして表に現す。

服や寝具、さまざまな布たちを、修復し、補強し、これからも共に生きていくための手しごとだ。
 
毎年、膨大な量の衣類が作られ、同時に多くの服が捨てられている。
ほんの数回しか着られないまま手放される服も少なくない。
その循環は、「大切にする」という感覚から、あまりにも遠く感じられる。
 
繕いは、とても静かな行為。
けれど確かに、廃棄を減らし、資源を守り、消費の速度を緩めてくれる。

何よりも、今あるものに目を向ける時間を与えてくれる。
私は、ほんの少しでも、持続可能な暮らしを支えたい。

自分の服を繕い、そして、その方法を誰かに伝えることで。
私たちが選んで残し、着続け、愛し、繕う服には、それぞれの物語が宿っている。
繕うことで、その物語は終わるのではなく、新しいチャピターが始まる。

JACCC 刺し子修繕ワークショップ

1月24日/3月21日/5月23日/7月25日/9月26日/11月21日
 
あなたの服にも、新しい命を与えるところから始めてみませんか。
静かに、そして確かに、無駄を減らしながら。
 
 
愛を込めて,
Sanae❤️

刺し子を教える喜び

若いころに夢や目標を持つ人もいて、それを実現できる人もいる。

私の場合はそんな感じではなかった。

小学校2年の頃、自分で育てた花や植物を販売する花屋か苗屋を経営したいと思っていたけど、家に庭がなかったので、果物屋からもらった木箱でたくさんの花を育ててたけど、その夢はどこかに行ってしまった。それから、水泳が好きで、オリンピック選手になれるかもなんて一瞬だったけど思ったり、小説を読んだり書くのが好きで、ライターになりたい時期もあった。
17歳にハワイに行く時、飛行機に乗ってからフライトアテンダントの仕事もいいかもしれないと思ったり、車の免許をとって運転するようになって、運転が好きでF1レーサーになりたいとも思った。

19歳でアメリカに来て大学で専攻していたフォトジャーナリストになっても良いかもと思い立ち、メディアのコーディネーターを仕事をして、家庭菜園や動物の家族と過ごす時間が無くなってしまうとわかって、メディアの仕事は辞めた。
グリーンカード(永住権)をもらうまでは、免税店、お土産屋さんで働いたり、車を洗う仕事、芝をかうガーデナー、植木屋さんのグリーンハウスで南アメリカの植物を育てたり、いろんな仕事をした。

結婚してグリーンカード(永住権)を獲得後、三菱系の日経の企業で仕事をして、自分がやりたい事とか考えないでただ働いてた。


そして、1993年に卵巣癌と診断された。
父は肝臓癌を患い、診断から1年も経たないうちに亡くなった後だったので、私はマクロビオティックの食事法を中心としたホリスティックなアプローチで、主に自分自身を癒すことを選択。
ロサンゼルスのイースト・アンド・ウエスト・マクロビオティック・センターで、マクロビオティック料理と陰陽哲学を学んだのは人生の転換期、真っ只中。
治ることだけ考えて自然療法、
マクロビオティックを努力して一生懸命勉強して実践した。
自分の知識や技術を他の人に伝える仕事につくとか教えるとは思ってもみなかった。

卵巣癌から回復していくと、周りの人たちからどうやって食事療法で治ったかを話して欲しいと聞かれた。また、エレホーン・ナチュラル・フーズ・マーケットでマクロビオティック・コンサルタントとして新しい仕事にひょんな事から就いたのをきっかけに、マクロビオティックについて話すことで自分自身が救われたように、他の人を助けることができると感じ、1995年に初めてマクロビオティック料理教室をやってみた。

また、マサチューセッツ州ベケットにあるクシ・インスティテュートでマクロビオティック栄養カウンセラーの資格、マッサージの資格も取得。
夫のエリックはシェフなので私は、マクロビオティックのデリバリーサービスとプライベートクッキングサービスを運営し、指圧などのヒーリング療法を提供していった。
マクロビオティックの指導とヒーリングカウンセリングを行う傍ら、エリックと私はマクロビオティック・ビーガンレストラン「シード・キッチン」をオープンしました。
レストラン経営は過酷で、非常にストレスだったので、残念だったが8年後
閉店。6ヶ月後に体調が悪いのを感じてステージIVの血液癌、非孵化性リンパ腫で余命1ヶ月もない!と診断された。癌細胞の成長が早かったので、とにかく命を救うために、化学療法を受けることを決意。ホリスティック・マクロビオティックの実践も続けて、治療の副作用を軽減することができた。
改めて、以前よりももっともっと健康である大切さを知った。
こんな感じで30年以上があっという間に過ぎてしまったのは、信じられない!

2020年にパンデミックが起こり、料理教室を閉鎖。
アート、テキスタイル、そして長年好きでしてた刺し子と天然染料など、自宅でのオーガニック植物栽培に力を入れるようになっていった。
マクロビオティックの哲学を通して、すべてが変わっていくことを学んでしたので、また変化の時が来たと感じていた。
そして、ボタニカルワークと刺し子のワークショップを教える機会が知人を通してやってきた。

 

また教えることができることになって嬉しい。

教えるということは、自分の実践と経験をシャエアーでき素晴らしい。

私は孤独が好きな方で、たいていは家で、ひとりで動物家族と過ごしながら、
アート・ヒーリングスタジオで自分のプロジェクトをクリエイト、お庭では薬草や野草を育ててのんびり過ごして、時々カウンセリングとヒーリングワーク。

 



ワークショップを通して、たくさんの人と繋がることもでき、前回のワークショップでは17歳の高校生の男の子がが参加してくれて、刺し子をとても楽しんで、とても感動。
私にとって、ワークショップで教えるのはバランス丁度良い。


教え始めた時、刺し子のワークショップは予想以上に人気でビックリ。

私の教える刺し子ワークショップは、まず刺し子の基本をみなさんに少し刺し子の歴史も含めて学んでもらう。刺し子は刺繍枠を使わないので、布の持ち方、針の持ち方、糸の準備、そして糸こき(刺し子糸を刺して布と糸を滑らかにする)による布と糸の関係、その他、糸の長さは、それぞれの人の指先から心臓(ハート)、つまり指先・天(ハート)から地(アース)へのエネルギー(ひとりひとりの長さが違う)。

マクロビオティックを教えてきたので、その経験を活かして最初に刺す刺し子のパターンはひとめ刺しの「ライスステッチ(米刺し)」とライスステッチ(米刺し)のバリエーション刺し方。サンプルをみなさんに見てもらうと、みんな一斉に”きれい!素晴らしい”と言う。

シンプルですが、本当にとても美しい刺し子パターン。

 

ロスアンゼルスの日米文化会館 JACCC とサンタモニカのワイルドファイバースタジオ Wildfiber Studio で毎月ワークショップ。

その他 Chief ((ウエストハリウッドにある女性向けエグゼクティブ・プライベートクラブ)で Four Objetsand サンタモニカの Merrihew Sunset Gardens 。

今は以前、ヨガを教えていたヨガスタジオで瞑想の実践として刺し子を教えて欲しいと言われているし、その他、サンフランシスコやノースキャロライナで刺し子のワークショップをして欲しいとリクエストが入っている。

刺し子は、パーフェクトな美しさではなく、「侘び寂び」の美しさ、それは私たちが私たちである、美しさのようだ。ひと針ひと針をゆっくり刺していくと癒しの心につながる。リラックスしてマインドフルネスを促進し、気持ちをを豊かにしストレスを無視するのではなく受け入れ前進。その上、刺し子はサステイナブルな生き方を必要としている現代に欠かせない、植物繊維の衣服の寿命を延ばし、布地の修復や補強の実用性がある。

 

刺し子のワークショップがこれからももっとできるのは、「わあ!」という喜びいっぱい。
この刺し子が私をどこへ連れていってくれるのかはまだ分からない、今は教えるというこの刺し子の旅を楽しみ、これからどんな景色が見れるかワクワク。

感謝を込めて、

Sanae ❤️